皆さんこんにちは!にゃんこ部長です。
こちらの記事は、マーケティング検定3級の取得を目指して学習中の筆者が、試験対策と備忘録もかねてマーケティング用語などをまとめたものです。
以下の書籍を参考に学習したものをまとめています。
今回の記事は試験対策の第4回目として、出題範囲から消費者行動の章で特に覚えておくべき用語を解説します!
用語解説の前に消費者行動とは、企業が提供する製品やサービスを購入・利用する消費者が、一つの商品の購入に至るまでの行動のことを指します。
競争の激しいビジネス環境では、企業が生き残るために消費者の行動を理解することが不可欠であり、消費者を理解するためにその行動を分析することはマーケティングの基本とも言えます。
次の章から消費者行動の基本的な考え方について学んでいきます。
知覚バイアス / 知覚品質
知覚バイアス
消費者のもつ知覚は、商品・サービスが与える様々な情報を捉えて意味づけを行うが、様々な要因によって知覚の解釈が変化することを知覚バイアスという。
知覚品質
消費者が意味づけした品質のことを知覚品質(顧客が購買目的に応じて感じている品質で、商品・サービスを他のものと比較したときに顧客が優位性を感じた品質のこと)と呼ぶ。
マーケティングにおいては、消費者が感じる「知覚品質」を高めることが重要だと考えられている。
知覚マップ
知覚マップとは、消費者の知覚を知るための手段であり、消費者へ各ブランドのイメージに関する質問を行い、その解答を統計解析し、2軸で図示したもの。
知覚マップではブランド間の位置づけを視覚的に把握できるため、ポジショニング戦略の方針を決めるのに活用できる。
消費者が好ましいと感じるかどうかの「態度」は反映されていないため、マップ上で空白になってい る領域を発見しても、それがそのまま市場の潜在性を表していることにはならない点に注意する必要がある
ブランド・カテゴライゼーション
ブランド・カテゴライゼーションとは、ある製品カテゴリーに含まれるブランドを消費者の認知、情報処理、態度などによっていくつかの分類をして、整理する枠組みのこと。
想起集合(考慮集合)
ブランド・カテゴライゼーションの想起集合とは、「頭の中でイメージされる購入を検討してもよいと考えるブランドの集合体」のことである。
あらゆるブランドにとって消費者の想起集合に入ることが目標となる。
想起集合のサイズ(想起集合に入るブランド数)の特徴
- 平均すると3前後となる
- 年齢や家族数、教育水準によって異なる
- 教育水準とは正の相関がある(教育水準が高いほど、想起集合のサイズは大きくなる)
- 年齢とは負の相関にある(年齢が高いほど、想起集合のサイズは小さい)
消費者の認知的枠組み(スキーマ)
スキーマとは、日常的な行動や特定の事象に関する知識を、ある決まったものの見方や考え方で判断する枠組みのことで、消費者のブランドイメージに影響を与えるもの。
スキーマと極端な不一致の場合、当てはめようとしたスキーマが間違っていると判断され、情報処理がされなくなる。
スキーマとほぼ一致した情報は、既存のスキーマをそのまま適用すれば良いので注意を向けられることもなく、情報処理もほとんどされない。
そのため、適度なスキーマの不一致を作り出すことで、消費者の注意を引き、情報処理を活発にさせることができる。(適度な不一致は消費者の注意を引き、既存のスキーマとの関連付けを行おうと積極的な情報処理が行われる)
CDPモデル
CDP(Consumer Decision Process)モデルとは、消費者が商品を知ってから購入に至るまでの一連の心理的プロセスのことで、「消費者意思決定プロセス」とも呼ばれる。
消費者が商品の購入を決定するまでに、5つの段階を経ると言われており、「問題解決⇒情報探索⇒選択肢評価⇒購買⇒購買後評価」の順序で説明される。(購買意思決定の出発点は問題認識であるが、それは理想の状態と現在の状態の間に差異を感じた時に生じる)
CDPモデルを理解することで得られるメリット
- 消費者が商品を購買(非購買)した理由について考察できる
- 追加的な購買の促進方法を発見できる
- 製品開発において重視すべき属性が把握できる
- 消費者が欲している情報を、効果的なフォーマットで提供することが可能となる
消費者の購買行動における問題解決パターン
購買行動における問題解決のパターンは大きく、以下の3つに分類される。
問題解決のパターン | 対象となる商品(カテゴリー)の主な特徴 | 問題解決の際の特徴 |
---|---|---|
拡大的(包括的)問題解決 | 高額商品や知識が乏しいカテゴリー | 情報探索や選択肢評価に時間をかけて慎重に解決策を探る |
限定的問題解決 | なじみのある製品カテゴリー | 既有の評価基準や選好に基づき、一部の情報をもとに解決がなされる |
日常反応行動 | 低価格で購買頻度の高い製品カテゴリー | 情報探索や選択肢評価にほとんど時間をかけずに解決する |
消費者の商品選択の決定方略
消費者意思決定プロセスでは、消費者が商品を選択する際に、決定方略(Decision Strategy)という心理的操作で選択肢を評価する。
商品の選択肢の複雑さや、商品へのこだわりなどによって、消費者が用いる決定方略は異なり、最終的に選択される商品も異なる。
決定方略の種類と特徴
決定方略の種類 | 決定方略の種類と特徴 |
---|---|
加算型 | 各選択肢が全属性にわたって検討され、総合的に最も好ましいと判断された商品が選択される。 |
加重加算型 (線形代償型、 多属性態度型) | 複数の属性について、当該属性の重要度(好ましさ)と当該商品が有している属性水準を掛け合わせたものを 足し上げ、その結果最も得点の高い商品が選択される。 |
連結型 | 検討される属性についてそれぞれ必要条件となる水準が設定され、すべての必要条件を満たした最初の商品が 選択される。 |
分離型 | 検討される属性についてそれぞれ十分条件となる水準が設定され、どれか一つの条件でもクリアする商品が あればその商品が選択される。 |
辞書編纂型 | 最も重視する属性において最も評価の高い商品が選択される。 |
感情依拠型 | 過去の使用経験や購買経験から、最も気に入っているブランドが選択される。 |
関与
関与とは、消費者がある対象物や事象と、どの程度関わり(こだわり)があるかを表したもの。
関わりが強いものを関与が高いといい、関わりが弱いものを関与が低いという。
関与が高まると一般的に消費者の注意、短期記憶、情報探索の量が増加し、情報処理の深さ(精緻化レベル)が深まり、豊富で複雑な知識が形成されやすくなる。
一方で、関与が低いと消費者の注意、短期記憶、情報探索の量は減少し、情報処理の深さは浅いものとなる。
消費者の購買行動の類型
ヘンリー・アサエルが提唱した、関与と消費者購買行動の関係をまとめた枠組みで、消費者の関与の高/低とブランド間知覚差異(ブランドの違いを知覚できる程度)の大/小によって、消費者の購買行動を4分類にしている。
認知的不協和
消費者が商品の購入後に、「本当にこの商品でよかったのだろうか」と悩んでしまい、自己内で矛盾が生じて、心理的な緊張が高まること。
消費者の関与は高いのに、ブランド間の知覚差異が小さい場合に認知的不協和が生じやすくなる。
認知的不協和低減型
認知的不協和が生じると、消費者はそれを低減させる行動または思考を取るようになる。
解釈レベル理論
解釈レベル理論とは、人々による出来事の解釈が、その出来事と現在の自分との心理的距離に影響を受けることを示したもの。
いま直接経験している出来事は自身との「心理的距離が近い」とし、いま直接経験していない出来事は自身との「心理的距離が遠い」とする。
時間的距離の近い出来事は、具体的で詳細な要素から解釈されるのに対し、時間的距離の遠い出来事は抽象的で本質的な要素から解釈される。
解釈レベル理論の例
時間的距離の近い場合:例えば、「今日」食べる夕食について考えると、具体的にどのような場所で、どのようにして、という詳細な情報を利用する。(プロセスや具体的な「手段(How)」に注目した観点から昼食を捉える)
時間的距離の遠い場合:例えば「1年後の今日」食べる昼食について考えると、おいしいご飯を楽しく食べたいというように、抽象的な「目的(Why)」に注目した観点から昼食を捉える。
マズローの欲求階層理論
マズローの欲求階層理論とは、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したもの。
欲求階層は「生理的欲求 ⇒ 安全欲求 ⇒ 社会的欲求 ⇒ 尊敬欲求 ⇒ 自己実現欲求」で構成され、人の欲求に関して緊急度の高いものから低いものへ至るものとなっている。
以下、緊急度の高い欲求階層から順を追って説明する。
生理的欲求
食事や睡眠など人が生きていくための、肉体的・本能的な欲求。
安全欲求
衣類・住居や危険の回避など、安全な状態を確保しようとする欲求で、生理的欲求と合わせて生命としての基本的な欲求である。
社会的欲求
家族・会社・国家などに帰属したいとする欲求で、「所属と愛の欲求」とも言われる。
尊敬欲求
自分が集団から価値ある存在と認められ、称賛・尊敬されることを求める欲求。
自己実現欲求
自分の能力・可能性を発揮し、創作的活動や自己成長を図り、あるべき自分になりたいと思う欲求。
マズローの理論では、最下段の生理的欲求から尊敬欲求までの4つの階層を「欠乏欲求」、最上段の自己実現欲求を「存在欲求」(または成長欲求)とした。
マズローの理論を参考に、自社製品がどのように消費者の欲求や目標、人生と関わっているかを理解することができる。
準拠集団
個人が自分や他人を評価したり、個人の態度形成や行動に影響を与える集団のこと。
マーケティングにおいて、商品あるいはサービスへの態度や購買意思決定に、準拠集団の影響があると考えらている。
準拠集団の例
- 家族、会社、趣味の仲間、友人などの身近なコミュニティ。
- ファッションモデル、歌手、プロスポーツ選手など、直接的な対人関係のない集団も準拠集団と見なされる。
準拠集団の影響は、以下3種類がある。
情報的影響
自分が関心を持つ集団から何かしらの情報を得て、消費に役立てる場合をさす。
例:
優れたスポーツ選手があるブランドを身に着けてスポーツしている姿を見て、そのブランドの購入を検討すること。
規範的影響
その社会集団が持つ個人への「期待」を自分の消費生活に反映させることで、その集団に受け入れられ、称賛されることを希望するような行動を指す。
例:
富裕層においてブランドを身に着けることや、高級住宅街に住むことが、その集団の成員として認められること。
価値表出的影響
ある社会集団のもつ価値観に個人の価値観を同一化することを意味する
例:
ボランティア活動をするグループに属するとき、そのグループが持つ価値観に賛同することを求められることがある。
準拠集団が商品やブランドの選択に与える影響
選択した商品が必需品か非必需品か。(非必需品=贅沢品を持つ場合、その商品を持つことがある準拠集団に属している証拠になる)
選択したブランドが準拠集団の目に触れるかどうか。(他者から見られる可能性(視認性)がある場合、ブランドを持つことが、ある準拠集団に属している証拠になる)
プロスペクト理論
ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーが提唱した、「利得」と「損失」に対して、人間がどのような感情(価値)の変化を引き起こすかを示したもの。
プロスペクト理論は価格決定の理論として広く知られている。
消費者は製品やサービスに対して対価を支払う際に、価格ごとに価値の評価を行う。
価値の評価は消費者は期待する価格(参照点)と実際の価格との乖離によって決められる。
消費者が製品やサービスの価値の高低を決める場合、この参照点を基準にしていると考える。
利得と損失の関係
利得と損失によって、消費者が感じる価値の変化は非対称である。
例えば100万円の利得と100万円の損失では、同じ幅で消費者の感じる価値の変化は利得よりも損失の方が上回るとされている。
これはプロスペクト理論が「損失回避の法則」と呼ばれる理由となっており、消費者は利得で得られる満足感よりも、損失を避けたいとする気持ちの方が大きいということになる。
保有効果
上記の損失回避に基づいた心理的作用で、自身が保有している物や立場などに高い価値を見出す傾向のこと。
保有効果が強いと、自身が保有しているものを捨てることは「損失」として捉えられるため、損失回避の法則が働く(結果的に、保有物を手放すことに抵抗が生まれる)
利得や損失の変化の割合について
利得や損失が同じ割合で増加しても、金額が大きいほど消費者は価値を感じづらくなる。
例えば、1万円しか所持していない人が2万円になった時に感じる価値は、年収800万円の人が年収801万円になった時に感じる価値よりも大きい(同じ1万円の増加)
プロスペクト理論を踏まえてマーケティングを考えた場合、顧客の持つ参照点がどこにあるかを認識して、製品やサービスの価格付けを行う必要がある。
例えば、特価の安売りを繰り返すと、消費者にとっての参照点が安売り時の価格に固定されてしまい、通常の価格で購入することを「損失」と判断する可能性があるため注意が必要である。